2021.11.04

営業一筋21年。売っているのは顧客に「儲けてもらうための物語」

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工作機械の卸しを行う機械事業部で営業課長を務める、森田英介。機械事業部歴20年超の彼が何より大切にするのが、「機械を使うユーザー様に儲けてもらうこと」だ。“儲けてもらう”とは、具体的にどういうことなのかを聞いた。

不動産を紹介したら、商談が成立した

新卒入社以来、ずっと機械事業部に所属しているそうですね。

はい。大阪、兵庫、愛知と勤務地は変わりましたが、21年間ずっと機械事業部で営業を担当してきました。

大まかに言うと、工作機械をメーカー様から仕入れ、それを販売店様に卸す仕事です。工作機械とは、様々な機械製品の部品をつくる機械ですね。

ただ実質的には、機械を売っているわけではありません。

山善 機械事業部について話す森田

機械事業部なのに、機械を売っているわけではない? どういうことでしょう?

実は、私がまだ20代の頃、こんなことがありました。通常、当社の直接のお客様となるのは販売店様で、実際に機械を使うユーザー様と直接取引をすることはほとんどありません。ただしそのときは、販売店様からの紹介で、ユーザー様に直接営業する機会をいただきました。ユーザー様の多くは、いわゆる町工場と呼ばれる中小規模の工場で、そのときもある町工場と商談を進めました。

その商談は良いところまで進んだものの、「機械はぜひ欲しいけど、現状では置く場所がなく、新たに工場を建てないと設置できない」と暗礁に乗り上げてしまって…。

そこで私は近隣の不動産屋を回り、良い物件がないかを調べました。すると良さそうな物件が1つ出てきたので、それをお客様に提案したところ、「ここ、良いじゃない!」と気に入ってくださいました。そして1年後には本当に工場が新設され、ついには当社から機械を納入することができたんです。

ノートにメモを取る森田

物件の紹介が、結果的に機械の販売に繋がるとは、面白い事例です。

このユーザー様には新工場ができたことで、その後もいろいろな機械を購入していただきました。そしてあるとき、こう言ってくださったんです。「あのとき物件を紹介してくれたおかげで、会社の業績が大幅に上がったよ」と。

顧客に「儲けてもらうための物語」を販売する

そのときに「あ、これだ」と思ったんです。ユーザー様が実際に買うのは確かに機械なんですが、本当に欲しいのは仕事の成果であり、さらに言えばそれによってもたらされる利益なんだと。

営業をしていると、どうしても近視眼的にモノをゴリゴリ売ってしまいがちです。でもモノを力ずくで売っても、結果的にユーザー様が儲からなければサステナブルにならず、結局は当社も儲かりません。要は私たちがご提案すべきは、こうすればユーザー様の利益が上がりますよという「物語」であり、機械はあくまでそれを実現する手段であると。

 

DMG森精機の5軸加工機「DMU 50 3rd Generation」
大型機械の導入はユーザー企業の経営上のインパクトが大きいため、担当営業にも「売る責任」が求められる。
写真はDMG森精機の5軸加工機「DMU 50 3rd Generation」。

「物語」とは、他にどのようなものがありますか?

例えば「加工速度が3倍上がるので、生産量も3倍高められます」や、「これまで人が作業していたのを自動化できるので、よりコアな業務に人員を割けます」「機械の設置スペースが従来の3分の1ですむので、新たに別のモノを生産できます」等々ですね。

こうした提案をするには、ユーザー様のニーズを的確につかみ、それに合わせて機械の仕様や組み合わせをアレンジする必要があります。また、それこそ物件を探すではないですが、他にもいろいろなサポートを必要に応じて行います。ユーザー様に儲けてもらうためであれば、できることはなんでもしていこうと。

工作機械の加工ワークを手にする森田

ユーザー様のニーズは、どうつかんでいますか?

販売店様と一緒に、ユーザー様の元に出向いて話をうかがうといった取り組みも行っています。やっぱり直接顔を合わせて話を聞くと、本質的なニーズが見えやすいので。

工場様にとって工作機械の導入は、数百万円からときには1千万円以上の投資となり、その後の経営を左右します。そうした案件に関われることに大きなやりがいを感じるとともに、非常に緊張感をもってやらせていただいています。

日本の会社の99%以上が中小企業です。大仰かもしれませんが、こうした業務を通して中小企業を、ひいては日本を元気にしていきたいと思っています。

仕事のミスを回避する最大の極意

そもそもの質問ですが、山善のような卸売業がなぜ必要なのでしょうか?

工作機械のメーカー様は、販売のための人員が限られているところがほとんどですので、当社のもつネットワークや人員で、販売・拡散を大きく後押しできると自負しています。一方、販売店様としても、我々卸しに頼めば、ユーザー様が希望する形を整えられます。またメーカー様との価格交渉や機械トラブルのやりとりも、販売店様が直接行うより、メーカー様と確固たるパイプをもつ当社を通した方が、うまくいきやすいんです。

とはいえ、今後は人口減少もあり、今より確実にモノが売れなくなります。それこそIoTやDXを最大限に利用しながら、これまでにない新しい卸しの形も構築していかなければいけません。

山善の存在意義について話す森田

森田さんが仕事をする上で心がけていることは?

これは社内外問わずなんですが、苦手な相手でも、好きになる努力をすることです。仕事上のミスの大半は、コミュニケーション不足から生まれると思っています。そして苦手な相手ほど、コミュニケーションが不足し、ミスやトラブルが起こりやすい。だからこそ苦手な相手でも、趣味なり経歴なりを聞いて、その人のことを意識的に知るようにしています。

相手のことを知ると自然と親近感がわくし、向こうとしても自分のことを気にかけてくれる相手には、親近感を覚えますよね。機械事業部の仕事はミスが大事故に繋がりやすいこともあり、そこはとくに心がけていますね。

PROFILE
森田 英介

横浜市出身、2000年4月に新卒入社。以来大阪、兵庫、愛知と勤務地を変えながら、機械事業部一筋で20年以上を山善で過ごす。2020年に現在の名古屋営業部に移籍し、営業課長に昇進。プレイングマネージャーとして、販売店様およびユーザー様への営業を行いつつ、後進の指導にあたる。並行して将来の機械事業部のビジョンを考えるチームや、社内のDX推進チームにも所属し、未来の山善を構築する役割も担う。

※このインタビューは2021年9月に行いました。

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