グリーンリカバリー・ビジネス部

箕輪 啓介

Keisuke Minowa

PPAモデル事業参入で切拓いた再エネ調達の選択肢

2022.03.03

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「生産財」と「消費財」の専門商社として、ものを売ることを中心に成長してきた山善が、2021年よりPPAモデル事業に参入した。太陽光発電システムを無償で設置し、発電した電力を顧客に販売する同事業。プロジェクトを推進するグリーンリカバリー・ビジネス部(以下GRB部)の箕輪啓介に話を聞いた。

加速する再生可能エネルギーの導入

近年、企業におけるSDGsへの取り組みやESG投資に注目が集まり、自社施設で利用する電力を再生可能エネルギーへ切り替える動きが活発になっている。2021年に資源エネルギー庁から発表されたエネルギー基本計画では、2030年にCO2排出46%削減、2050年にカーボンニュートラルの実現が示された。企業には再生可能エネルギーへの転換が強く求められ、取引企業に対しての要求も高まる昨今。もはや再生可能エネルギーの活用は避けては通れないものであり、企業の規模を問わず、早急に対応すべき課題となってきた。

このような世の中の潮流を背景に、GRB部は2021年に立ち上げられた。環境ビジネスの拡大をミッションに掲げ、環境投資戦略の企画立案・実行を通して、顧客にSDGsやESGにおける社会的評価をもたらす当部署。そのプロジェクト第一弾として参入したのがPPA(Power Purchase Agreement・電力販売契約)モデル事業だ。


従来、企業が再生可能エネルギーを調達するには、自社で電源を所有するか、再エネ電源を有する電力会社や、JEPX(日本卸電力取引所)などから電力小売会社を経由して外部調達するしかなかった。新たな選択肢であるPPAモデル事業とは、事業者がクライアントの施設に太陽光パネルを無償で設置し、クライアントは発電した電力に応じて料金を支払う方式だ。初期投資や管理費が不要となるなど、従来の調達方法のリスクを軽減する新たなモデルとして注目を集めている。

そんなPPAモデル事業を推進すべく、顧客との商談やパートナー企業との連携業務を担うのが、中核メンバーの箕輪だ。


山善の新たな強みとなった再エネ調達の3つの選択肢

PPAモデル事業を開始するには課題があった。山善では、太陽光パネルを販売・設置する事業は従来から行っており、多くの実績がある。しかし、エネルギー提供に関するノウハウが乏しい。この課題を解決したのが、エネルギー事業を展開する企業との業務提携だった。複数社との議論・検討の末、最も条件が当てはまったのがDaigasエナジー株式会社だ。

長年にわたるエネルギー事業展開に裏づけされた経験値やノウハウを持つDaigasエナジー。同社との業務提携により、調達、施工、エンジニアリングや維持管理までがワンストップで可能となる。これまで山善が提供してきた再生可能エネルギーの調達支援方法は、クライアントが太陽光パネルを自社保有する方法のみだったが、外部調達とPPAモデルが加わり、3つの選択肢を顧客へ提供できることになったのだ。

業務提携による効果は他にもある。Daigasエナジーの顧客は、熱需要が多い製造業や卸売業、小売業などが多い。一方で山善は熱需要が多くない製造業や卸売業、小売業など多くの仕入・販売先を抱える。両社のネットワークを活かすことで、幅広い業種・分野にサービスを提供できること。それはつまり、より多くの顧客に対して再生可能エネルギーの調達支援ができ、ひいては社会の脱炭素化にもつながるということだ。

こうして両社の共同ブランド『DayZpower(デイズパワー)』が立ち上がり、2021年10月よりPPAモデル事業がスタートした。


「日々の電力」の意味を込めたDayZ。由来は「Daigasエナジー and Yamazen」から。

「日々の電力」の意味を込めたDayZ。由来は「Daigasエナジー and Yamazen」から。


DayZpowerについて動画でご紹介しています。


「Daigasエナジー様と提携したことで、お客様に対して、初期費用や管理費をかけずに太陽光パネルを設置でき、自社保有設備のように再エネ調達を可能にする提案ができるようになりました。再エネ調達に踏み出せずにいるお客様を大いにサポートできると思います。もちろん、自社で設備を持ちたいお客様のご要望には、従来と同じように太陽光発電システムの販売・設置が可能です。再エネの外部調達に関しては、Daigasエナジー様を通じて提供することができます。再エネ調達方法として3つの選択肢をご提案でき、お客様の多様なニーズに柔軟に対応できることは、山善の大きな強みになりましたね。」箕輪はそう語る。


目指すは“三方良し”のビジネスモデル

PPAモデル事業がスタートして以来、箕輪は全国を飛び回り、顧客の要望をヒアリングした上で事業の提案を行っている。外部調達、設備の自社保有、PPAモデルの3つの選択肢から顧客のニーズにマッチした最適なプランを提案することで、顧客、Daigasエナジーと山善、そして地球環境の“三方良し”の実現が目標だ。

再生可能エネルギー調達の動きは、さらに加速していくことだろう。箕輪は今後についてこう語る。
「目標は2024年度末までに10万kWの発電設備を保有し、販売する発電量を1億kWh(一般家庭約2万3,137世帯分の年間電力消費量に相当)まで増やすことです。現時点で再エネ調達のニーズは大企業が中心ですが、今後は中小企業にも波及していくと思います。太陽光発電に限らず、今後はバイオマスや風力などのプラントや、新しい技術にも携わっていきたいですね。再エネ調達や省エネ対策でお困りの際は、ぜひ一度話を聞かせていただきたいです。あらゆる方法を視野に入れながら、ご要望に合った再エネ調達の実現に向けて、お客様と一緒に取り組んでいきます」。


※このインタビューは2022年1月に行いました。部署名・役職等は取材当時のものです。

営業本部 グリーンリカバリー・ビジネス部 箕輪 啓介
PROFILE
箕輪 啓介

2012年入社。機工事業部にてマーケティング部、業務部、滋賀支店の営業を経験。2021年4月に営業本部 グリーンリカバリー・ビジネス部が新設されるとともに異動。現在、PPAモデル事業における顧客との商談やDaigasエナジー株式会社との連携業務を行っている。

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