協働ロボットとは?産業用ロボットとの違いやできることを解説

2024.02.28

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協働ロボットとは、人との共同作業を前提としたロボットで、製造業で深刻化している人手不足対策や生産性向上に有効です。今回は、協働ロボットと産業ロボットの違いや活用可能な業務例、導入メリットなどを解説します。

協働ロボットとは

製造業で活用されているロボットには、協働ロボットと産業用ロボットがあります。両者の違いと、協働ロボットが注目を集めている理由を紹介します。

協働ロボットと産業用ロボットの違い

協働ロボットは人と一緒に働くロボットです。人の代わりに稼働する産業用ロボットとは特性や作業内容などに違いがあります。



  協働ロボット 産業用ロボット
製品重量 軽い(小物~中物) 軽い~重い(小物~大物)
作業サイクル 遅い(時間がかかる) 速い(時間がかからない)
対象物 簡易的プログラミングの製品が
多いため少量多品種向き
同品種・大量生産向き
使用方法 柵不要で場所を問わない 安全柵が必須
コスト※ 高い 安い
※同等の可搬能力製品による比較として


協働ロボットは人の近くで作業するため小型で、作業時の安全性を考慮した仕様が備わっていることが産業用ロボットとの大きな違いです。幅広いシーンに対応でき、製造規模が比較的小さな現場でも活用できます。

近年では、産業用ロボット並みのスピードで作動し、人の接近を感知して作業スピードを自動的に落とせる協働ロボットも登場しています。

協働ロボットが注目を集める理由

協働ロボットが注目されるようになった背景には、産業用ロボットに関する規制が緩和されたことがあげられます。

労働安全衛生規則では、定格出力が80Wを超える産業用ロボットの接触により危険が生じるおそれがある場合に柵の設置が求められていました。

しかし、2013年12月24日付の厚生労働省通達で、リスクアセスメントにより危険のおそれがなくなったとき、及びISO規格に定める措置を実施した場合に、協働作業が可能と明確にされました。

出典:「産業用ロボットに係る労働安全衛生規則第150条の4の施行通達の一部改正について」(厚生労働省)

また、少量多種生産のニーズが高まったことや、技術進化によりロボットに必要な動作を教える「ティーチング」の操作が簡単になったことなども、協働ロボットの普及を押し進める要因となっています。

【活用例】協働ロボットに任せられる業務

協働ロボットはさまざまなシーンで活用されています。ここでは製造業務において協働ロボットに任せられる業務の例を5つ紹介します。

ネジの締め付け

協働ロボットとネジ締め機を組み合わせることで、さまざまな角度でのネジの締め付けが可能です。作業者の負担が大きい上、ばらつきが発生しやすい作業を協働ロボットに任せることで品質の安定を図れます

製品の組み立て

協働ロボットの導入により、人とロボットで組み立て作業を効率化できます。それぞれが得意とする作業を担当することで、生産性の向上が期待できます。

ビジョンシステムを備えた協働ロボットであれば、部品の正確な位置決めも可能です。

検査の自動化

安全柵が必要な従来の産業用ロボットでは検査の自動化は困難でした。しかし、柵が不要な協働ロボットなら、検査機への供給や回収を行わせることで検査の自動化が可能です。

また、人の介在が必要な検査でも人のスペースを確保でき、ロボットと同時に作業できるようになるため、検査精度の向上も図れ、検査業務を効率化します。

溶接

溶接作業は強い光や有害物質が発生するため、作業者の健康を害することがあります。協働ロボットの活用により、溶接作業における健康リスクを軽減できます

倉庫内のピッキング

協働ロボットは、最適なルートを自律走行し一定のペースでピッキングできます。協働ロボットによる自動化で、作業時間を短縮可能です。

また、高所や重量物のピッキングによる事故も防止できます。

協働ロボットを導入するメリット

協働ロボットはさまざまな作業が可能で、製造工程の自動化や半自動化を実現可能です。ここでは協働ロボットの導入で見込まれるメリットを紹介します。

コストを削減できる

協働ロボットの導入により、これまで人が行っていた作業を代替できるため、人の作業時間を短縮できます。必要な人員数を抑えられるため、人件費はもちろん、人材管理コストの削減も期待できます。

品質を改善できる

人の場合には習熟度の差や長時間作業による疲労などの要素によってアウトプットの質にばらつきが生じます。一方で、協働ロボットは一定の水準で作業し続けられます。品質を均一化しながら改善も図れ、ヒューマンエラーの防止も可能です。

製造業における品質改善については、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
製造業における品質改善とは?具体的な方法や実施時のポイントを解説

生産性が向上する

人による作業は、作業者の習熟度や作業環境によって成果水準が変動します。協働ロボットは、どのような場合でも一定の質とスピードを保って作業を行えるため、成果水準を事前に予想しやすくなります。そのため、データをもとに生産性の向上や作業工程の最適化に向けた対策を打ちやすくなります

また、協働ロボットの導入によって人の作業量を抑えられます。これまで製造に割いていた人的リソースを別業務に投下することも可能になります

協働ロボットを導入する際の注意点

協働ロボットを導入する際には、念頭に置くべきことが2点あります。

1点目は、協働ロボットでは完全な無人化が難しいことです。協働ロボットは、あくまでも人と一緒に作業することを前提としています。

2点目は、動きが遅く可搬重量が小さいことです。協働ロボットは人の作業エリアの近くに設置するため、小型のロボットになります。また、人に接触した際に安全に停止できることを前提としています。そのため産業用ロボットに比べると速度が遅く、可搬重量が小さいものが多いです。

協働ロボットを導入するなら

協働ロボットの導入を検討しているなら、山善TFS支社にご相談ください

TFS支社が取り扱っている「テックマン」は、カメラを標準装備しているため、プログラムの知識がなくても簡単に操作できることが特徴です。

まとめ

人と働くことを前提とした協働ロボットは、小型で安全柵の設置も不要なため、製造工程やピッキング、検査の自動化などさまざまな場面で活用可能です。今後懸念されている人手不足に対策できるだけでなく、生産性の向上や品質改善、コスト削減にも役立ちます。

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