グリーンリカバリー・ビジネス部

大中道 智美

Tomomi Onakado

脱炭素社会で生き残るために。「GBP App」が実現するCO2の“見える化”

2022.10.27

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温室効果ガス排出量の算出・可視化を行うアプリ「GBP App」。山善では自社での導入に加えて、販売店にも無償提供することでサプライチェーン全体での排出量の“見える化”を進めていく。グリーンリカバリー・ビジネス部の大中道(おおなかどう)が、その狙いについて語った。

新たな経営リスクとしての脱炭素化

山善のこれまでの環境推進活動について教えてください。

私が入社する前のことになりますが、出発点は1997年に開催された第3回気候変動枠組条約締約国会議、いわゆるCOP、京都会議の開催を受けて翌年に社内で発足したエコ委員会でした。これは現在の環境委員会の前身です。その後、2000年に環境方針を策定し、2002年には国内全事業所がISO14001認証登録を達成。そして2005年にはグリーンボールプロジェクトの前身である「Eco-Brandキャンペーン」を展開しました。
国際的な動きや政府の取り組みと足並みをそろえて早い時期からタイムリーに環境推進活動に取り組んできた山善は、業界内でも草分け的な存在だったと思います。

グリーンボールプロジェクトは画期的な取り組みでしたね。

2005年に「消えたCO2買います」というキャッチコピーのもとでスタートしたのが「Eco-Brandキャンペーン」でした。


当時作成したポスター

当時作成したポスター


2008年に世界初のカーボンオフセット会議として開催された洞爺湖サミットを機にグリーンボールプロジェクトへと進化しました。このプロジェクトは14年間で延べ11,255社が参画し、492,210トンものCO2削減効果を生みだしているんです。


企業の脱炭素化は、待ったなしの課題となりました。

これまで脱炭素化や温暖化対策はCSRの一環としてボランタリー的にとらえられてきました。しかし現在はまったく様相が変わっています。コーポレートガバナンス・コードが改訂され、東証プライム企業に対して国際的な枠組みであるTCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)に準じた情報公開が義務づけられたことに象徴されるように、現在では脱炭素化は経営戦略の一角に組み込まれており、有効な対策を打ち出せない企業は財務的な毀損を被りかねません。今や脱炭素化の対策を打たず傍観することは“経営リスク”とも言えます。

温室効果ガス排出量の国際的な算定・報告基準であるGHGプロトコルでは、サプライチェーン全体でのCO2排出量の算出を求めています。つまり脱炭素化の努力をしていない企業は、将来、巨額な炭素税の支払いを求められたり、取引先のサプライチェーンからはじき出されたりする可能性さえあります。残念ながらこうした顕在化しつつある現実的リスクに対して認識が薄い経営者は、少なくありません。

将来のために今できることから

まさに今差し迫っている経営リスクというわけですね。そこで山善が展開を始めたのが「GBP App」です。

GHGプロトコルは、サプライチェーン全体でのCO2排出量の“総和”を示すものです。これに対してCO2の“削減効果”を示すのが、山善独自に定めたGBPプロトコル。この双方のプロトコルを視覚化したアプリケーションが「GBP App」なんです。

「GBP App」はCO2排出量の総量が把握できるだけでなく、たとえば販売店様は、山善からCO2削減効果の高い機器を購入することによって得られる削減量を把握できます。また有償サービスになりますがエンドユーザー様は製造ラインに計装装置を取り付けることで製品の製造にどれだけの排出量があるかも把握できるんです。
これによりカーボンフットプリント(ライフサイクル全体を通して排出される温室効果ガスをCO2換算して表示する仕組み)の要求にも役立てるはずです。


山善自身も脱炭素化を推進するため、2022年7月中旬から自社排出量の管理のために導入しました。山善の国内外支社、グループ会社、物流拠点などのCO2排出量の総量を視覚化することは、全社でCO2削減に取り組む上でモチベーションにもつながります。

またグリーンボールプロジェクトに参画する販売店様には山善で保有する600アカウントを無償で配布する予定です。脱炭素化への意識が高い販売店様からは「こんなアプリが欲しかった!」「もっとPRをするべき」とうれしい反響をいただいていますね。

目に見えない価値を伝えるのは難しいですね。

おっしゃるとおりです。でも近い将来、日本でも炭素税が導入されるようになったとき、きっと「あのとき『GBP App』を導入しておいてよかった」と胸をなで下ろしていただけるはずです!


ものづくりの現場を支援する

なぜ無償で提供するのでしょうか。

今や脱炭素化を巡るルールは大きく変わりました。過去の経験を頼りにしていては、この変化に気づかず、取り残されてしまうでしょう。脱炭素化への取り組みが遅れることがそのまま経営リスクにつながるという事実に気づいていない企業に対して、まずは知っていただくことが必要と考え、無償での提供に踏み切りました。
流通商社の立場としてCO2削減効果の高い(低排出量)機器を販売し、その普及に貢献するのは当然のこと。仕入先、取引先の両者に対してサポートすることは、流通商社である山善の使命でもあると思います。

今後の展望について教えてください。

まずはアプリの機能について知ってもらうため、わかりやすいPR動画を公開しています。



また認知度の向上を図るため、「GBP App」のスキームそのものを「地球環境大賞」に応募することも検討中です。
日本のものづくりの現場が脱炭素化の新しいルールにきちんと対応し、低炭素でのものづくりが可能となれば、それは新しい競争力になるはずです。サプライチェーンとの協働により、日本のものづくりの新たなストロングポイントを育てること。それが「GBP App」の普及を通じて実行する私たちの使命だと考えています。

同部で推進するPPAモデル事業についてはこちら

※このインタビューは2022年9月に行いました。

大中道 智美
PROFILE
大中道 智美

営業本部 グリーンリカバリー・ビジネス部
2008年新卒入社。家庭機器事業部のインセールス、機工事業部のマーケティング部を経て、現職。GBP Appのユーザー・アカウント管理をはじめ、リーフレットやPR動画の制作などに携わり、アプリの普及に注力している。

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