製造業が直面する課題とは?現状から分かる問題点と解決策

2024.02.28

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製造業のなかには、ほかの業種と同じく、人手不足をはじめとするさまざまな課題に悩まされている企業も多いのではないでしょうか。事態を改善させるためには、まず現状や問題点を把握することが大切です。

今回は製造業が直面しやすい課題と、その解決策を解説します。

国内製造業の現状


経済産業省が2023年5月に公表した資料によると、2022年に15.7兆円の貿易赤字となっています。比較可能な情報が残る1996年以降において、過去最大の数字です。

かつては安価な材料を海外から輸入して、国内で付加価値を付けた製品を製造・輸出していた手法が、現在は現地生産の拡大などにより通用しにくくなってきました。国際物流ネットワークの拡大もあり、全体的に輸出が伸び悩んだことが赤字の原因とされています。

出典:経済産業省「製造業をめぐる現状と課題 今後の政策の方向性

さらに、コロナ禍によって中国とのサプライチェーンが寸断されたことも影響しています。自動車メーカーなど一部の業界では、生産停止に追い込まれる企業も現れました。海外由来の収益も伸び悩んでおり、日本における製造業の「稼ぐ力」の実態を改めて把握し直す必要がある、と経済産業省の資料で論じられています。

公益財団法人の調査によると、2023年時点で日本の製造業の労働生産性は、94,155ドルでした。日本円にして約1,078万円です。

出典:公益財団法人 日本生産性本部「日本生産性本部、「労働生産性の国際比較 2023」を公表

2000年には、OECDに加盟する主要34か国の中で日本は上位にランクインしていました。しかし、2000年代で徐々に低落し続け、現在は18位にまで低下しています。

今後、直面する製造業の課題


新型コロナウイルス感染拡大のような突発的なトラブルのほかにも、企業の経営活動を脅かす要因はいくつかあります。ここでは製造業が今後向き合うべき主な課題として3つを取り上げます。

人手・後継者不足

1つ目の課題は人手・後継者不足です。経済産業省が公表した資料によると、製造業の従業員過不足状況は2020年の一時期にプラスへ転じたものの、2022年にはマイナス16.9%まで低下し、不足状態へ戻っています。

出典:経済産業省「2022年版ものづくり白書

2019年まではマイナス20%台で推移しており、現在は新型コロナウイルス感染症拡大が発生する前の状態と比べて、大きな差はありません。

若年層と高齢層で就業者の割合を見ると、65歳以上の高齢者による就業数は直近の20年間で約2倍に増加した一方、34歳以下は約6%減少しています。高齢者の就業数は非製造業のほうが多く、2022年時点で製造業が8.7%の割合であるのに対して14.4%と2倍弱の差です。

上記2つのデータから、製造業はほかの産業と同じく若者離れが生じているだけでなく、高齢者の就業者数も少なく、全世代で深刻な人手不足といえます。

製造業における人手不足については、以下の記事でも解説しています。
製造業が人手不足に陥る原因とは?影響と対策を解説
深刻化する後継者不足の実態とは?原因と解決策を解説

製造原価の高騰

2つ目の課題は、度重なる製造原価の高騰です。製造原価に分類される費用のうち、労務費と原材料費が高騰しています。

製造業の平均賃金水準は全産業の中でも高い上、雇用規模が非常に大きいため、人的リソースにかかる費用も高額です。労務費と原材料費は製造原価の多くを占めているため、両方の価格が上昇している現在は大きな影響を受けています。

2022年に行われたアンケート調査では、前年度よりも売上高が増加したと答える製造業者は45.8%でした。一方で営業利益が増加したと答える企業数は前年よりも減少しており、30.0%でした。

出典:三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「令和4年度製造基盤技術実態等調査 我が国ものづくり産業の課題と対応の方向性に関する調査

売上高の増加をもたらした理由は、主に販売数の増加や単価アップです。販売数が伸びているにもかかわらず、製造原価の高騰により営業利益が伸び悩む結果となりました。

実際に事業に影響があるものとして87.9%の企業が「原材料価格(資源価格)の高騰」、78.4%が「エネルギー価格の高騰」と答えています。

DX化の遅れ

3つ目の課題は、DX化が遅れていることです。DX化とはデジタルトランスフォーメーションのことで、デジタル技術の導入によって、ビジネスモデルの変革及び競争力を高める取り組みや概念を指します。

経済産業省が公表した資料によると、2022年におけるデジタル競争率ランキングの総合順位は、全63か国・地域のうち29位でした。過去最低の順位であり、分野別で見ると「ビッグデータの活用と分析」や「企業の敏捷性」などでは最下位になっています。

出典:経済産業省「2023年版 ものづくり白書

DX化の推進は人手不足の解消のみならず、生産性向上にも大きく貢献する取り組みです。製造事業者も企業間の生産プロセス、流通状況、CO2排出量の見える化に関するデータ連携など、多くの場面で必要性を認識しています。しかし現実には、着手まで進んでいる企業の割合はそこまで高くありません。

これから製造業に求められる対策


製造業が今後の発展を目指すためには、課題解決及び製造生産性向上につながる環境作りが必要です。ここでは主な2つの対策を紹介します。

デジタル技術の導入・活用させる

DX化の遅れを解消するためには、デジタル技術の積極的な導入・活用が求められます。AIやIoTなど、製造や物流の現場を中心に取り入れられるデジタル技術はさまざまです。効果的に取り入れて、ロボットが人の代わりに作業を担う環境を整備すれば、人手不足や技術継承の課題解決が期待できます。

例えば自動プログラミングサービス「コムロジック」を導入すると、3Dモデルをアップロードするだけで加工プログラムを自動で作成できます。プログラミングにかかる時間や人材を削減でき、ほかの業務に人手を割くことが可能です。

今後はDX導入も見越して、デジタル関連に精通した人材の確保や育成も視野に入れる必要があります。

サプライチェーンの再構築・見直しをする

近年は、新型コロナウイルス感染症拡大や社会情勢の急激な変化など、日本のサプライチェーンの脆弱性が露呈する出来事が続いています。今後は万が一の事態に陥っても事業継続できるように、サプライチェーンの再構築や見直しが必要です。

例えば工場を複数の地域に分散したり、消費地近隣での生産を行ったりと、生産拠点レベルでの施策が効果的です。

まとめ

ニーズが多様化した現代において、従来のように高品質で魅力的な商品を開発・発売するのみでは、業績を伸ばすことは困難です。人手不足やDX化の遅れなど、さまざまな課題もあげられます。

今後製造業が生き残るためには、デジタルの積極的な活用や現状の見直し、サプライチェーンの再構築が求められます。加えて、災害や感染症など予測困難な事態が生じたときのために、事業継続のための対策も必要です。

さらに、人手不足の解消にアプローチしつつ生産性向上を図るなら、コムロジックの導入をご検討ください。従来、プログラミングにかかっていた時間や労力を抑えることができます。

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