中小企業省力化投資補助事業とは?制度の目的・背景と概要を紹介

2024.03.26

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中小企業省力化投資補助事業とは、中小企業の生産性向上や人手不足の解消を支援する補助金のことで、2024年3月に公募が開始されます。省力化したい場合や、IoT・ロボットなどの導入予定がある場合は積極的に利用したい制度です。

今回は、中小企業省力化投資補助事業について、目的・予算規模や補助額・補助率、対象となる企業や申し込み方法などを解説します。

中小企業省力化投資補助事業の目的と予算規模



まずは、中小企業省力化投資補助事業が実施される目的・背景と予算規模について解説します。

中小企業省力化投資補助事業の目的と予算規模



目的・背景 ・中小企業の売上拡大や生産性向上を後押しするのが目的 ・中小企業の人手不足解消に向けた取り組みを支援する
予算規模 ・2023年度(令和5年度)補正予算案では1,000億円


なお、2024年2月15日時点で未発表の内容もあるため、判明している点のみをまとめています。

目的・背景

中小企業省力化投資補助事業は、中小企業の売上拡大や生産性向上の後押しを目的としています。人手不足に悩む中小企業が増えている背景を踏まえ、省力化投資支援の補助金を支給する事業です。

これによって中小企業等の付加価値額や生産性向上を図り、賃上げにつなげたい考えです。従業員数21人以上の企業が賃上げの要件を達成した場合、最大で1,500万円が補助される見込みとなっています。

この事業では、IoT・ロボットといった人手不足解消に効果がある汎用製品を「カタログ」に掲載し、中小企業などが選択して導入できるようにしています。即効性を期待できる製品を容易に導入できるようにしているのが特徴です。

予算規模

中小企業省力化投資補助事業の予算については、経済産業省が2023年度(令和5年度)補正予算案に1,000億円を盛り込んでいます。

なお、コロナ禍を契機に始まった事業再構築補助金は停止・再編される予定です。既存基金の活用を行う場合には、予算規模は総額5,000億円にも上る見込みです。

中小企業省力化投資補助事業の概要



中小企業省力化投資補助事業の概要は、次のとおりです。

中小企業省力化投資補助事業の概要



補助額・補助率 ・補助上限額は従業員規模別に異なり、原則として200~1,000万円 ・補助率は1/2
補助の対象者 ・従業員数5名以下の小規模事業者から、従業員数21名以上の中小企業、中堅企業まで対象
実施回数 ・2026年9月末までの期間で15回程度の公募回数となる予定
公募開始時期 ・2024年3月から
申請方法 ・オンライン電子申請


各項目について、順番に解説します。

補助額・補助率

中小企業省力化投資補助事業の補助上限額は、以下のとおり、従業員の規模・賃上げ要件達成の有無によって異なります。なお、補助率は1/2までです。

中小企業省力化投資補助事業の補助上限額 ※()内は賃上げ要件を満たす場合



従業員数が5人以下 200万円(300万円)
従業員数が6~20人 500万円(750万円)
従業員数が21人以上 1,000万円(1,500万円)


なお、「賃上げ要件」には、次の2つが定められています。

・事業所内の最低賃金を、年額45円以上(※)の水準で引き上げる
・給与支給総額を、年率平均6%以上増加させる

※時給額。

補助の対象者

中小企業省力化投資補助事業の対象となるのは、下記に該当する小規模事業者や中小企業、中堅企業などです。

・従業員数5名以下
・従業員数6名~20名
・従業員数21名以上

比較的、従業員数が少ない企業向けの補助金といえます。また、あわせて以下2つの要件も満たす必要があります。



・従業員1人当たり付加価値額が、補助事業終了後1~3年で、年率平均3%以上増加する見込みの事業計画を策定
・人手不足の状態である証拠を示す、または、人手不足が経営課題となっているという申告を行う


なお、前項で解説した「賃上げによる補助上限の増額」を適用する場合は、申請時点で、申請要件を満たす賃金引上げ計画を従業員に表明することが必要です。

実施回数

中小企業省力化投資補助事業の公募は、令和8年(2026年)9月末までの2年間半で、15回程度行われる予定です。また、公募頻度は約2ヶ月に1回で、1年間に6回実施される見込みとなっています。

公募開始時期

中小企業省力化投資補助事業の公募は、2024年3月から開始される予定です。それに先立ち、1月26日からは事務局の公募、2月9日からは製品カテゴリの意見照会など、現在準備が着々と進められている状況です。

申請方法

中小企業省力化投資補助事業の申請は、補助金申請システム「jGrants(電子申請システム)」を通して、オンラインで申請・届出を行います。

まずは、省力化省人化につながる製品のカタログ(補助事業の対象器などの一覧)に掲載された汎用的な製品・機器を選択しましょう。その上で、申請に必要な書類を準備し、オンラインで申請を行ってください。

中小企業省力化投資補助事業のカタログとは



中小企業省力化投資補助事業のカタログとは、この補助事業の対象となる製品などの一覧のことです。補助事業を利用する企業は、このカタログから導入したい製品を選び、申請します。

ここでは、カタログの概要や、製造業ジャンルで掲載が予想される製品を紹介します。

省力化・省人化のための製品が登録される

中小企業省力化投資補助事業のカタログには、中小企業の省力化・省人化に役立つと認定された製品や機器類が登録されます。登録される製品などは、ハード・ソフト両面が対象です。なお、中小企業庁が2024年2月9日からカタログに掲載する製品の種類について、意見照会を行っています。

詳しい登録内容などは、公募開始時に公表される予定です。

産業用ロボットが登録される見込み

製造業では、省力化・省人化を実現する産業用ロボットが、カタログの登録対象となる見込みです。ロボットアームや加工ロボットなど、製造工程で活躍する産業用ロボットが多くラインナップされる見込みとなっています。また、AIが搭載された機器なども、カタログの対象となることが予想されます。

まとめ

中小企業省力化投資補助事業は、人手不足に悩む中小企業の省力化や生産性向上などを後押しする補助金です。省力化・省人化に役立つハード・ソフトウェア類の導入をしたいと考えているなら、積極的に利用を検討しましょう。

公募の開始は、2024年3月からの予定です。補助対象は、カタログ掲載の製品に限られますので、詳細が発表されたら目を通してみましょう。

中小企業省力化投資補助事業について、より詳しく知りたい方はこちらのページもご覧ください。

【公募開始前】中小企業省力化投資補助事業

※この記事は、2024年3月時点での情報です。

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