機工事業部 第1営業マーケティング部

中島 信

Makoto Nakashima

目指すは日本中のものづくり支援。自販機型マシンが強力に推進する在庫管理DXとは

2022.12.01

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人財不足や海外との熾烈なコスト競争など、様々な課題を抱える製造業の現場。それらの解決のためにもDXの推進は必須となっている。そこで脚光を浴びているのが山善の提案するツールベンディングユニット「ANYST(エニスト)」。親しみやすい自動販売機型の装置の中には、製造現場を力強く支援する提案が込められている。「ANYST」の真価について、拡販に携わる機工事業部・中島信が語った。

“あって当たり前”だからこそ不足は許されない

中島さんはものづくりの現場でのご経験が豊富とのことです。山善に入社されて「ANYST」を目にされたとき、どう思われましたか。

前職で「ANYST」に出会っていたら間違いなく飛びついていたと思います(笑)。MRO(工具や備品などの間接資材)は必要なときに手元にあって当たり前の存在で、一つ欠けただけでものづくりがストップし、生産計画が変わって、大きな損失につながってしまうこともあるほどです。私自身、マシニングセンタで特殊鋼の加工を行っていた際に重要な切削工具が足りなくなり、操業が止まってしまった経験があります。夜間だったため発注は翌日となり、操業が再開できたのは2日後。生産工場においてこれは大きな打撃です。MROの在庫管理の重要性を身に染みて知っていたからこそ、「ANYST」を知った瞬間に “これが欲しかった!”と思いました。



ものづくりの現場ならどこでも、在庫管理で失敗した経験はありそうですね。

その通りだと思います。展示会で「ANYST」を紹介するとき、前職での失敗談を踏まえてお話をさせていただくと、多くの方が「よくわかる」「ウチも同じです」と前のめりになって聞いてくださいます。在庫管理の難しさは、製造現場に共通の課題だということを改めて実感します。

「ANYST」はどのような経緯で誕生したのでしょうか。

前述の通り、ものづくりの現場では多種多様なMROが不可欠で、調達においてはeコマースが広く普及しています。コロナ禍の影響で今後さらにeコマースは加速していくと予想され、在庫切れリスクや在庫のムダを削減するニーズが高まると考えられます。そこでオリジナル商品として企画を開始し、国内最大級の工作機械見本市「メカトロテックジャパン(MECT)2021」でお披露目に至りました。


「メカトロテックジャパン(MECT)2021」出展の様子

「メカトロテックジャパン(MECT)2021」出展の様子

年間108万円の工数削減効果に期待

改めて「ANYST」の実力についてご紹介ください。

エンドユーザーの皆様が現場で工具や備品などを必要としたとき、自販機のボタンを押すような感覚で手軽に入手できるようにするのが「ANYST」です。
従来そうしたMROは、例えばその都度台帳に記入して棚から取り出したり、不足しそうだと思ったら追加を発注したりといった具合に、人やルールに頼った管理が行われていました。その結果、業務が煩雑になって作業負荷が高まったり、発注漏れで欠品したり、逆に二重発注によって在庫過剰になったりといった問題が起きていました。

こうした問題を解決し、在庫管理のDXを一気に推進するのが「ANYST」です。必要なMROは自販機の感覚で取り出すことができ、出し入れの情報はクラウド上に保管されます。適切な在庫数を設定しておくとその値を下回ったときにアラートが出るので、発注漏れや発注過多の心配もありません。データはCSV形式でダウンロードでき、利用頻度や在庫状況の分析に活用することで、管理工数削減、コスト改善につなげられます。


山善が試算した「ANYST」の導入効果 ※多数のマシニングセンタを使用される製造工場を想定し、主に切削工具の管理面をシミュレーションしました。項目/数値/金額は製造現場により異なります。

山善が試算した「ANYST」の導入効果 ※多数のマシニングセンタを使用される製造工場を想定し、主に切削工具の管理面をシミュレーションしました。項目/数値/金額は製造現場により異なります。

まさに属人化からデジタル化への大きな一歩ですね。

「ANYST」の導入は、在庫管理DXそのものだと言っていいでしょう。日々の業務改善とともに収益の改善にもつながる、大きなイノベーションです。


自販機型というスタイルも斬新ですね。

そこは大きなポイントです。自動販売機の形としたことで、誰でも直感的に使うことができます。製造現場ではバーコードを読み込ませて必要なMROを選び、ボタンを押すだけ。自販機感覚で工具や備品などのMROを取り出せます。迷わずに誰でもすぐに使えるという安心感はとても重要なことでしょう。またレイアウトの自由度が高く、切削工具、ちょっと大きめのもの、フックに引っかけて保管しておくようなものなども収納できます。
手前味噌ですが、現場に寄り添い、お困りごとに耳を傾ける山善だからこそ、簡単に操作できる自販機型に行き着いたと思います。

日本中の製造現場に「ANYST」を

今後は展示会を中心にアピールしていくことになりますね。

ええ、ご来場者様の反応が楽しみです。また山善大阪本社の1階にも常設展示しています。ここまでご紹介させていただきましたが、やはり百聞は一見に如かずです。実物のインパクトは大きいと思いますので、お問い合わせがあったらすぐに駆けつけてご説明させていただきます。


「ANYST」の今後についてはどのようにお考えですか。

まずは実際にご利用いただいたユーザー様のお声に耳を傾け、機能・仕様のバージョンアップを図っていきたいと思います。例えば在庫情報をレポートの形にして出せるようにすることで、製造現場の業務効率をさらに向上させることができます。また間接資材だけではなく備品関係、さらには工場以外でもご活用いただけると思いますので、あらゆる分野にご提案していきたいですね。
そして「ANYST」を日本中に浸透させることで、ものづくりの現場を強力にサポートしていきたいと考えています。山善のパーパス「ともに、未来を切拓く」にもつながりますが、昨今の人財不足などの難しい課題に対して、「ANYST」をご活用いただくことが、本来のものづくりに軸足を置いた形でお仕事に向かっていただけるひとつの解決策になると思っています。


※このインタビューは2022年10月に行いました。部署名・役職等は取材当時のものです。

中島 信
PROFILE
中島 信

機工事業部 第1営業マーケティング部 技術開発担当
機械加工技能士1級(マシニングセンタ作業)

製造業にてものづくりの現場及び営業に従事したのち、2022年9月に山善入社。ものづくりの入口から出口に至る多様な経験を活かし、ユーザー目線でのANYSTの開発・販売を担当。名刺に記載の「機械加工技能士」はお客様とのコミュニケーションのきっかけにも。

※2023年4月に、機工事業部を「産業ソリューション事業部」と「ツール&エンジニアリング事業部」に分割しました。

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