【2023国際ロボット展】“ロボこたつ”って何⁉ 山善TFS支社が独自の自動化を提案できるワケ

2024.01.05

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2023年11月29日から4日間にわたって開催された『2023国際ロボット展』。山善トータル・ファクトリー・ソリューション(TFS)支社は「ともに、未来を切拓く」をテーマに「ロボこたつ&AGVソリューションエリア」「ロボット運搬ソリューションエリア」を出展した。しかし、これはあくまで一例だという。お客様の期待を超える“クロッシングによる提案力”とは。その真髄に迫る。

製造現場が直面する2030年の壁

生産年齢人口の大幅な減少が見込まれる日本。製造業においては2030年に38万人もの労働者不足が予見されている。


「製造現場の自動化・省人化は待ったなしです。しかし、具体的にどうしたらいいかがわからない、というのが各社に共通した悩みです」。

そう語るのはTFS支社で製品製造における自動化提案を担うFA(Factory Automation)課の営業担当、大嶋だ。顧客の抱えるぼんやりとした悩みに対し、TFS支社では製造現場の自動化に向けた「要件定義」にはじまり、実現するための「要素技術」までをワンストップで提案している。


製造現場の生産性向上につながる自動化・省人化。その導入方法に悩む企業は多い。

製造現場の生産性向上につながる自動化・省人化。その導入方法に悩む企業は多い。

山善ブースの企画構想を担い、来場者に技術面の解説をしたTFS支社・技術サポート部の村井は、「ものづくりの現場を支える専門商社ならではの強みを活かして、お客様の期待を超える新しい提案を目指している」という。

期待を超える新しい提案とは何か。
実際に要件定義から落とし込んだ要素技術の一例を見ていこう。

機器同士の“相性”まで踏み込んだソリューション

会場では実際の製造現場を想定して「ロボこたつ&AGVソリューションエリア」と「ロボット運搬ソリューションエリア」のデモ展示が行われた。


ステージを挟んだ2つの展示エリアを自動で行き来するAGV(右下)

ステージを挟んだ2つの展示エリアを自動で行き来するAGV(右下)

「ロボこたつ&AGVソリューションエリア」では、AGV(無人搬送車)が、協働ロボットを設置した“こたつ型”の台の下に潜り込み、リフターを上昇させて台を持ち上げ、2つの作業台を往復するデモンストレーションが行われた。


こたつ台を持ち上げて協働ロボットを次の作業台に運ぶAGV


下の表のパターン②、「AGVとロボットを一体化」させたシステムの場合、AGV移動中はロボットが停止し、ロボット稼働中はAGVが停止するという効率の悪さが課題となる。また、パターン③の「AGVが作業台を運搬」し、固定されたロボットが作業を行うシステムの場合、工程レイアウトの大幅変更が不可という悩ましさも。


AGVソリューション比較表

これらに対してパターン①の「AGVが”ロボこたつ”を運搬」する組み合わせは、AGVや協働ロボットの台数を最適化でき、工程レイアウトの変更も最少で済むという大きなメリットがある。

メリットを支えるのは、機器同士の相性の良さを提案できるTFS支社の存在だ。
AGVは通常1cm単位での制御となる。1cmというと僅かに聞こえるが、製造現場での緻密な作業を考えると、大きな“ズレ”となる。しかし、カメラが内蔵された6軸多関節の協働ロボット「テックマン」であれば、TMランドマークの視認により作業位置が自動調整されるため、ロボこたつで移動した上でも0.1㎜の精緻な作業が可能だ。精度を落とさずにコストを最小限に押さえつつ、自動化・省人化が実現できる。


内蔵カメラにより精緻な作業が可能な協働ロボット「テックマン」


「どんなに高性能な機器でも、お客様が要望される仕様や環境の違いなどによって性能を十分に引き出せないことがあります。長年にわたって多様なメーカーの多彩な製品を組み合わせてシステムを構築してきたTFS支社だからこそ、最適な“相性”をご提案できるんです」。
(村井)


機器同士の相性が重要と語る村井

「ロボット運搬ソリューションエリア」では、協働ロボットがデパレタイズ(荷下ろし)して空いたパレットをAGVが運び、別の協働ロボットがパレタイズ(荷積み)するデモンストレーションが行われた。運搬や荷役作業を自動化・省人化することで、人はより生産的な業務に時間を割けるようになる。両エリアをAGVが自走して行き来し、途中の障害物を自動回避する様子も披露された。


パレタイズが完了した信号をキャッチして自動でパレットを取り換えるAGV


「床が濡れていたり、凹凸があったり、屋外だったりと、製造現場の環境は様々です。TFS支社であれば、それぞれの条件にふさわしいAGVを選択して最適なシステムを構築できます」。
(村井)

企業によって異なる作業環境と機械の相性の良さを踏まえた上での提案は、生産性向上に大きく貢献するはずだ。

製造現場の入り口から出口までをワンストップで

今回の展示では、実績ある既存の技術や製品を最適な形で組み合わせて提案している。それゆえに現場での運用は安定し、操作にも高度なスキルは不要になる。TFS支社だからこその現場に寄り添った提案といえるだろう。会場では協働ロボット導入シミュレーションソフトウェアも来場者の関心を集めていた。


仮想空間に現場を再現し、協働ロボットと機器の位置関係や導入した際の問題点を事前に把握できる。

仮想空間に現場を再現し、協働ロボットと機器の位置関係や導入した際の問題点を事前に把握できる。

製造現場の入り口から出口まで、工場全体をトータルで自動化・省人化することを提案するTSF支社。その提案力を支えるのが“クロッシング”だ。

クロッシングは山善のパーパスである「ともに、」の具現化であり、TSF支社の強みでもある。

「展示会では、営業の私と技術者の村井がタッグを組んでご説明に当たりました。お客様への提案でも、営業が把握するニーズやトレンドと、技術者が精通するTFS支社の技術を組み合わせて最適な提案を行っています」。(大嶋)


クロッシングは社外のパートナーも巻き込む。たとえば、山善のグループ会社である株式会社石原技研や東邦工業株式会社をはじめ、約30社の外部SIerや社外メーカーとの連携など、各社各人の専門スキルを総動員することで、生産ラインの構想からシステム構築までワンストップで提供することが可能になるのだ。

「AGVソリューションを“介護の現場で検討したい”、“漁業でも使えないか”という、我々が想定していなかった現場での活用に関するご相談も多数いただきました」。(大嶋)

あらゆる困りごとに最適解を導くTFS支社のソリューションは、今後、より多様な領域で製造業界に限らずあらゆる分野で必要とされていくだろう。


期待を超える自動化ソリューションを提案する、山善TFS支社のサイトはこちら
山善TFS支社 https://tfs.yamazen.co.jp/



※この取材は2023年12月に行いました。文中の社名・部署名・役職等は取材当時のものです。

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